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スーツのアウター

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あけましておめでとうございます。
 
本日から仕事始めという方も多いと思います。
今日は寒の入りということで、全国的にも朝から気温が低く、都内でも
朝6時の気温が1℃前後ということで、いよいよ冬本番となりました。
 
年内は、ジャケット1枚で頑張っていた方も流石にコートを羽織ったのでは
ないでしょうか。
ここ1ヶ月内のヤフー知恵袋を拝見していると、就職活動や成人式を意識した
質問が増えています。
なかでもスーツにアウターについての質問が急増していますので、
今日は、紳士服の中でも後回しになりがちなオーバーコート(アウター)について、
お話ししたいと思います。
 
 
服装が自由化するに従い、スーツに合わせるアウターも多様化してきましたが、
スーツに合わせるならクラシックで上品な雰囲気のコートが良いでしょう。
 
コートの長さは、主にロング(膝丈)、ハーフ(腿丈)、ショート(腰丈)があります。
クラシックなスーツに合わせるなら、ロング~ハーフまでをお勧めします。
コートの裾からジャケットが見えている人を多く見かけますが、
あれはすごく貧相に見えてしまうので、やめたほうが良いでしょう。
短いほうが若く見えるなどと、判ったような店員や雑誌の戯言に耳を傾けては
いけません。彼らはメーカーの言うことをマニュアル通りに喋るにすぎません。
スーツを着て、若く見られる必要はないのです。
むしろ、若い人は貫禄を出すためにスーツを着るものですし、
年配者はそれなりの押し出しが演出できないと、スーツを着る意味がないのです
から。
 
仮にショート丈を着る場合でも、ジャケットを包み込み、ヒップを包み隠す程度の
長さはないと着こなしとしてはNGですし、防寒着としても役に立ちません。
日本は、ヨーロッパと較べて比較的温暖ですから、着回しを考えるとロングより
ハーフの方が向いているかもしれませんが、コートの丈はなるべく長いほうが
クラシックでエレガントで、かつ実用的です。
 
 
現在、市場で出回っている中で一番クラシックなコートは、
ロング丈のチェスターフィールドコートでしょう。
ハーフ丈にすると、クラシックスーツにもビジネスカジュアルでも兼用できます。
スーツの上着のようなデザインで、着用者の威厳が増します。
欧米では礼装に合わせることができる唯一のコートとされています。
 
チェスターコートだと、少々お固すぎるというときは、ステンカラーコートを
お勧めします。
バルマカーンコートとも云い、もとはコットンギャバジンやナイロン素材を用いた
レインコートでしたが、ウールやカシミアなどの高級素材を使用することで、
ビジネス向けのコートとして、市民権を勝ち得てきました。
欧米人はあまり傘を使わず、防水性の高いコットンギャバジンのステンコートと
レインハットというスタイルが一般的です。
そのため、このコートも防寒と防水を兼ねて、丈はロングがスタンダードです。
雨の日は雨避け目的のコットンギャバジン、晴れの日は防寒目的のウールと
使い分けると通っぽくて良いでしょう。
 
ちょっと大人の男を演出したいときは、いま流行りのトレンチコートです。
こちらもレインコートですが、元を辿ればトレンチ(塹壕)内での寒さと雨を凌ぐ
ために考案された軍服用のアウターでした。
軍用コート防水のためゴム引きで重いコートでしたが、軍需で財を成したメーカー
が民生用として、ゴム引きをやめ、コットンギャバジンのみで軽く柔らかく仕上げて
販売したのが、流行のきっかけでした。
世界的に有名なメーカーで、イギリスのA社とB社といえば、想像できるでしょう。
このコートも用途からしてロングが当たり前で、かつてはハーフやショートは
女子供が着るもの、とされていました。
さすがに現代では、そこまではありませんが、それでも男性がスーツに合わせる
なら、ハーフ以上の長さは欲しいところです。
 
スーツに合うアウターは上記の3つのみであり、
それ以外はジャケット+パンツのようなカジュアルな装いには合いますが、
スーツにはミスマッチです。
よく街中で見かけるワースト5を紹介します(真似をしてはいけない例です)
 
まずは第5位から。
 
5、上記のショートタイプ
 コートの本来の目的は、防寒・防雪・防雨です。
 コートの丈が短いと腰から下(要はパンツ)が全部濡れてしまうので、
 なんのためにコートを着ているのか判りません。
 また、下半身はほぼスラックス1枚のみなので上半身と較べて冬場は非常に
 冷えます。
 膝下まで覆うロングコートだからこそ、暖かく過ごせるのです。
 モコモコ着込んでいるのになぜか寒いという方は、ぜひロング丈(せめてハーフ
 丈)のコートを着てみてください。
 
4、ピーコート
 トレンチと同じくミリタリー発祥のアウターです。
 トレンチは陸軍(アーミー)なのに対して、ピーコートは海軍(ネイビー)発祥です。
 ピーコートはアウターとはいえ、ショート丈が基本で、ブルゾンに近い存在です。
 タイトなシルエットのため、ジャケットの上に着るような設計ではありません。
 無理にジャケットの上に着るとかなりパッツパツモッコモコになります。
 ジャケットを下に着込めるように大きめに仕立てると、オーバーサイズになって
 しまい、ピーコートのもつ精悍さや機動性が失われます。
 着方としては、シャツの上にセーターかベストを着て、その上にジャケット感覚で
 羽織るのが正解です。
 要はカジュアルであって、スーツのようなクラシックな衣服に合わせるべき
 アウターではないということです。
 スーツに合わせるには、ピーコートのデザインを踏襲しつつ、ロング丈のものを
 仕立てれば良いでしょう。
 
3、ダッフルコート
 これは、北極圏の防寒着だったものをスクールカジュアルに取り込んだのが
 発祥だと云われています。
 アイビールックに合うコートですが、フードが付いていたりとアウトドアの要素を
 色濃く残している為、スーツという紳士の装いには、不向きです。
 故林勝太郎氏は、伊勢丹のBY時代、伊勢丹別注でカシミアのロング仕立ての
 ダッフルコートを発注したと著書で述べています。
 最高品質のカシミアを使いカジュアルなダッフルコートを邪道だが、非常に贅沢
 な仕上がりにした、と。
 邪道と知りつつ、遊び心で買い求めるのは、悪いことではありませんが、
 あくまでもカジュアルと割り切るのがダンディの秘訣です。
 
2、ダウンジャケット(コート)
 云わずと知れたアウトドア用の防寒着です。
 軽くて保温性が高いので、非常に重宝しますが、街中で着るには分厚いし、
 そもそも暑過ぎるはずです。
 もともと高山や極地用に開発されたアウターですから、東北・北海道のような
 寒冷地ならまだしも、関東以西の冬でダウンジャケットが日常的に必要になる
 ことは、まずあり得ません。
 タウンユースのため、ダウンではなく中綿になっていたりとダウングレードされて
 いるとはいえ、それでも街中で着るには機能過多です。
 クラシックという洗練された衣服に過分な機能は必要ないので、これもスーツに
 は合わないのです。
 なによりも、その見た目がどう逆立ちしてもスーツと合わないと思うのです
 が、、、、。
 
1、キルティングジャケット(コート)
 ここ数年で人気上昇中のアウターですが、これはさすがにあり得ない選択です。
 カジュアルとして着るなら、云う事はありませんが、スーツに合わせるのは色々
 な点でおかしなアウターです。
 まずは丈。
 長い丈もありますが、街中で見かけるコートはほとんどショート丈で、上着の裾が
 ちらちら見えます。
 本末転倒なことに、このアウターに合わせるためにスーツを短くするメーカーも
 ある始末。
 
 このキルティングジャケットは、北欧における室内での防寒着でした(日本のドテ
 ラ、半纏のようなもの)。
 それをアウトドアコートの調節用インナーとして採用され、その後カジュアル服メー
 カーがキルティングのデザイン性を活かしてアウターとして発売しました。
 15年くらい前、M-65という米軍のアウトドアフィールドコートのインナーをアウタ
 ーとして着るファッションがありました。
 そのインナーが正にキルティングタイプでした。
 M-65のインナーはエマージェンシーオレンジで、そのオレンジが街中で非常に
 映えたので、ストリートファッションとして、流行しました。
 本格的なミリタリーファンは、インナーをアウターとして着るばからしさと街中で
 エマージェンシーコールを発信している間抜けさをバカにしていましたが。
 この流行はファッドファッション(一時的な流行)に留まりましたが、これを基に
 アウターとして世に出したのがイギリスのMとLというモード系カジュアルブランド
 でした。
 洗練されたデザインになっており、アウターとして充分通用する仕上がりですが、
 それがスーツに合うかと云われれば、否です。
 既に模倣品が販売されていますが、デザインの秀逸さはL社とM社に軍配が
 上がります。
 とはいえ、丈の短いキルティングジャケットをスーツに無理やり合わせる姿は
 いかにも貧乏臭く、頂けません。
 ナイロン製のジャケットに3万も5万も出す人の気が知れない、というのが個人的
 な感想です。
 お金の使い方は個人の自由ですし、価値観の相違でもって他者を吊るし上げる
 つもりもありませんが、
 キルティングジャケットに3万円も使うくらいなら、1万円のオーダーシャツを3枚
 仕立てたほうがよほど有意義です。
 軽くて防風・防寒性に富んだジャケットは重宝するでしょうが、いかにも万人受け
 する機能に目新しいデザインを付加しただけのコートに3万円も投資する価値は
 ないと思うのです。
 カジュアルで防寒性の高いコートが欲しいなら、1~2万円で充分な機能を有した
 コートやジャケットが容易に入手できます。
 ブランドのネームが付いているだけの高額なジャケットにどこまで価値があるの
 か、、、、。

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