前回の記事を読んで気付いた方はいらっしゃいますでしょうか。
注意して読み返していただければ分かると思いますが、
強盗1に向けた6発目は発射されなかったのに、
それまでのハリーの発砲シーンの描写は5発しか発砲していません。
強盗1に向けた6発目は発射されなかったのに、
それまでのハリーの発砲シーンの描写は5発しか発砲していません。
ご紹介した劇中序盤のエピソードについて、
多くの方が、銃には弾丸が残っていないのにハリーがハッタリでその場を
しのいだと考えていらっしゃるようですが、小生は違う考えです。
多くの方が、銃には弾丸が残っていないのにハリーがハッタリでその場を
しのいだと考えていらっしゃるようですが、小生は違う考えです。
まずは、小生の考えを述べる前に6発撃ち尽くしている(全弾発射説)を
検証してみましょう。
実は日本国内で確認できるDVDやテレビ放映版では強盗2に向けて2回発砲
(通算で2、3発目)しています。
全弾発射説は、これを根拠にしていると思われます。
なので、6発発射していると思っても、これは仕方がないのです。
なので、6発発射していると思っても、これは仕方がないのです。
確かにそうすると、ハリーは残弾0で強盗1をハッタリで制したことになります。
小生も当初は、そう思っていました。
しかし、多少なりとも拳銃の知識を得た今よくよく観なおすと、全弾発射説の3発目は
銃声のみで、ハリーが撃った姿も発射した描写もありません。
劇中で発砲を確認できる描写は、
強盗1への発砲(強盗1を無力化)、
強盗2への発砲(発砲する姿あるが、はずれ)、
車へ2回発砲(フロントガラスに弾痕2発・強盗3を射殺)、
強盗2への発砲(強盗2を射殺)
の5発のみです。
強盗1への発砲(強盗1を無力化)、
強盗2への発砲(発砲する姿あるが、はずれ)、
車へ2回発砲(フロントガラスに弾痕2発・強盗3を射殺)、
強盗2への発砲(強盗2を射殺)
の5発のみです。
問題の3発目は、車で逃げる強盗2の目線で車内からになっていて、銃声はするものの、
発砲煙・弾痕・被弾者の描写がありません。
以上から、全弾発射説の3発目の銃声はSE(サウンドエフェクト)を後から挿入した可能性が
以上から、全弾発射説の3発目の銃声はSE(サウンドエフェクト)を後から挿入した可能性が
高いと、小生は考えています。
つまり、全弾発射説の3発目の銃声は、銃に詳しくない人が直後の強盗1とのくだりと
つまり、全弾発射説の3発目の銃声は、銃に詳しくない人が直後の強盗1とのくだりと
辻褄を合わせるのために追加したのでは?ということです。
SE追加が、いつ・どのタイミングでされたかはわかりません。
実は残弾が1発ある状態で、弾はなかったように思わせる方法については、リボルバー
なら可能です。
それについては、次回詳しく述べたいと思いますが、
その方法はリボルバー式拳銃の特性を理解していないと分かりづらいため、
銃に詳しくない日本人にも容易に想像ができるように銃声を追加したほうが良いと判断
それについては、次回詳しく述べたいと思いますが、
その方法はリボルバー式拳銃の特性を理解していないと分かりづらいため、
銃に詳しくない日本人にも容易に想像ができるように銃声を追加したほうが良いと判断
したのか、もしくは追加した人も銃に詳しくなかった為「おかしいじゃん」と思って、
辻褄合わせるつもりで追加したのがSEを追加した理由だと思われます。
6発説の3発目がSEの追加と考える理由は2つあります。
1つは、このエピソードを「1発残っているのに撃たずに済ませた」ことにしないと、
ラストシーンの伏線にならず、延いてはラストシーンと整合性に欠けてしまうからです。
映画を観ているとき、序盤のこのシーンだけみても5発なのか6発なのかわからない
でしょう(発射回数を数えながら観ている人は少ないはず)。
そこは謎のままストーリーが進んでいき、映画のラストまで観ると、序盤のエピソードでも
そこは謎のままストーリーが進んでいき、映画のラストまで観ると、序盤のエピソードでも
1発残していたんだ、とわかる訳です。
ところが全弾発射説を採ってしまうと、このエピソードは、ハリーが強盗1をハッタリで
引っ掛けて制しただけのエピソードになってしまいます。
ハリーの肝の太さをアピールすることはできても、本筋への伏線になりません。
ハリーの肝の太さをアピールすることはできても、本筋への伏線になりません。
小生は、このエピソードとラストシーンの意味を以下のように考えています。
ハリーは一見、直情型の熱くなるタイプの刑事、というキャラクター設定のようですが、
実は冷静沈着で経験豊富なベテラン刑事です。
やむを得ない場合は、犯人の射殺も辞さない非情さがありますが、必要のない殺生をする
実は冷静沈着で経験豊富なベテラン刑事です。
やむを得ない場合は、犯人の射殺も辞さない非情さがありますが、必要のない殺生をする
タイプではないのです。
既に無力化している強盗1に対して、このまま投降するか、抵抗して射殺されるか選択の
余地を与えている訳です。
序盤のエピソードだけを切り取ってしまうと、肝の据わったハッタリで終わってしまいますが、
映画を最後まで観るとハッタリではなく、計算された余裕であることがわかる訳です。
もう1つは、走る強盗2に向けて2発(2,3発目)撃つ意味です。
6発説を採ると、強盗2が銀行から走り出て車に飛び乗るシーンで2・3発目。
運転手に向けて4・5発目、横転した車から逃げ出した強盗2を6発目で仕留める計算に
運転手に向けて4・5発目、横転した車から逃げ出した強盗2を6発目で仕留める計算に
なります。5発説だと走る強盗2に向けて1発だけしか発砲しません。
一見どちらも不自然ではないのですが、やはり6発説の3発目が不自然です。
強盗2は、銀行から発砲しながら走り出してきて車に飛び乗ります。
ハリーの2発目は、これに応射する形で発砲しています。
3発目(とされる)の銃声は、先述のとおり強盗2が車に乗り込んでから発砲しています。
しかし、銃声のみで車にもどこにも当たった描写がありません。
映画なので、シーンのカットなども考えられますが、それならあえて銃声だけ残す意味が
ハリーの2発目は、これに応射する形で発砲しています。
3発目(とされる)の銃声は、先述のとおり強盗2が車に乗り込んでから発砲しています。
しかし、銃声のみで車にもどこにも当たった描写がありません。
映画なので、シーンのカットなども考えられますが、それならあえて銃声だけ残す意味が
ありません。
さらに穿った見方をすると、強盗2はハリーから見て左から右へ走っています。
強盗1を無力化した直後に走り出してきた強盗2に向けて2発目を発砲したのは分かります
強盗1を無力化した直後に走り出してきた強盗2に向けて2発目を発砲したのは分かります
が、外れると分かっている3発目を撃つ必然性がないのです。
なぜ外れると分かるのか?
右利きの人が動く標的を狙い撃つ場合、対象が左から右に動くと狙いづらいですが、
右利きの人が動く標的を狙い撃つ場合、対象が左から右に動くと狙いづらいですが、
右から左に動くと狙いやすいのです。
右手で銃の形を作って、構えて狙いを左右に移動させてみて下さい。
対象が左→右と動く場合よりも右→左と動く場合のほうが、身体が自然に動き、狙いやすいと
対象が左→右と動く場合よりも右→左と動く場合のほうが、身体が自然に動き、狙いやすいと
思います。
理由は簡単で、腕も肩も身体の内側に曲がる構造になっているからです。
右手で銃を撃つ場合、照準を左に修正するほうが楽なのはお分かり戴けると思います。
その逆(右側)への修正は、関節の稼動域に限界があるので、難しいうえに身体が反る形に
右手で銃を撃つ場合、照準を左に修正するほうが楽なのはお分かり戴けると思います。
その逆(右側)への修正は、関節の稼動域に限界があるので、難しいうえに身体が反る形に
なるため銃の反動を制御しづらく、狙いが定まり難くなります。
ハリーは経験豊富な刑事です。
銀行から走り出てきた強盗2に対して、1発(2発目)はとっさに応射したとしても、
狙い難いほうへ走る対象に対して、次弾(問題の3発目)を撃つようなことはないと、
銀行から走り出てきた強盗2に対して、1発(2発目)はとっさに応射したとしても、
狙い難いほうへ走る対象に対して、次弾(問題の3発目)を撃つようなことはないと、
小生は考えています。
40年以上前の映画なので、真相は分かりません。
映画の中の話なので、目くじらを立てることはないのですが、
当時M29は狩猟用として発売されていたので、都市部では販売されていませんでした。
映画の中の話なので、目くじらを立てることはないのですが、
当時M29は狩猟用として発売されていたので、都市部では販売されていませんでした。
撮影場所近郊の銃砲店でも取扱いがなかったので、スタッフは映画撮影のために
スミス&ウェッソン社に特注で組んで貰ったということです。
S&W社は、元警官の射撃アドバイザーを派遣して、使い方を指導したという逸話がある
S&W社は、元警官の射撃アドバイザーを派遣して、使い方を指導したという逸話がある
くらいですから、この映画の銃考証やガンアクションには信頼が置けます。
以上を考え合わせると、強盗2に対しての発砲は1発のみで、1発残した上で6発撃ったか、
まだ5発なのか、という芝居がかったエピソードも充分に成り立つと考えています。