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ダーティハリーに見るカジュアルウェア

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シルバーウィークは風邪をひいた息子の看病でどこにも行けなかったので、
ダーティハリー全作品をDVDで観直しました。
 
ハリーを始め、サンフランシスコ市警の同僚の刑事の多くはスーツではなく、
ジャケットスタイルです。
劇中ハリーがスーツを着るのは、
地方検事に呼び出されたときと、終盤に市長に呼び出されたときだけです。
その他では、絵に描いたようなアメリカントラッドなジャケットスタイルです。
「ダーティーハリー」シリーズはPart5まで製作されましたが、
ハリーの服装は一貫して、
 
 ラペル幅の広いツイードのジャケット、
 レギュラーカラーのシャツ、
 幅広の赤・茶系のネクタイ、
 細身のノータックパンツ、
 茶か黒のプレーントゥシューズ
 
というビジネスカジュアルスタイルです。
車での移動が多い所為か、冬でもアウターの類は着ずにジャケットの下にニットの
ベストを合わせていることが多いようです。
捜査や巡回で絶えず動き回る為、軽快さを身上としているのでしょう。
細部をみると当時の流行が伺える仕様になっていますが、
ハリーのジャケットスタイルは現代でも充分に通用する「ビジネスカジュアル」です。

ビジネスカジュアルとは、必ずスーツでなくても良い、という職場における
ドレスコードのことですが、ノータイにデニムがOKという訳ではありません。
もちろん、それらが許されている会社や職場もありますが、それは限定的だと
考えるべきであり、カジュアルと云っても社会人の最低限のマナーとして、
他人に不快感を与えず、他人に安心感を与える服装を心掛ける必要はあるのです。
ハリーの服装の基本はいわゆる「アメリカントラッド」です。
「アメリカントラッド」にはスーツスタイルもありますが、どちらかというと
ジャケットスタイルやブルゾンスタイルなど、カジュアルな傾向が強い服装です。
とはいえ、アメトラだからカジュアルでも良いというわけではなく、社会的立場や
TPOに応じたセレクトをすることが、お洒落でありセンスなのです。

カジュアルウェアがOKな職場・仕事であっても、
いつでも誰と会うときでもシャツ1枚にロールアップしたデニム・アンクルソックスに
スニーカーでは、不快感はないにしても、この人に安心して仕事を任せられるのか、
という不安感は残ります。
今の職場でそれが通用しているなら、他人がとやかくいう必要はありませんが、
つまるところ、それが通用する狭い世界だけで終わってしまう可能性が高く、
ビジネスチャンスを掴めないということにもなりかねません。
外見でなく中身で勝負というのも判らなくはありませんが、中身を見せるだけの機会
すら与えられないということがある、ということは心得ておくべきです。
 
クラシックなウールのスーツ上下だと、どうしても社内で浮いてしまうなら、
コットンスーツやハリーのようなジャケパンスタイルにボタンダウンシャツ、
ニットタイ、ロングノーズのUチップかローファーなど、どんな相手にでも対応できる
配慮が必要だと思います。
 
今日の貴方の服装が相対する人のことを配慮した上でのものなら、カジュアルウェ
アでもなんでも問題はありませんが、カジュアルウェアはTPOや相手次第では、
とてつもなく礼を欠くことがあり、色んな相手に合わせて様々な服装を選ばなけれ
ばいけません。
どんな相手であっても礼を失さず、不快な思いをさせることがない服がクラシック
(スーツ)であり、カジュアルならジャケパンなどに限られるというのが、いまのところの
世界標準なのです。
ハリーの普段着が、どんなTPOでも適しているかと言われれば、そうではありません。
ハリーも必要に応じてスーツを着たり、ブルゾンにデニムを合わせたりしています。
小生はカジュアルウェアを否定はしません。
取引先や取引内容、その日の仕事の内容によっては、カジュアルウェアのほうが
良い場合もあるでしょう。
しかし、それはTPOを考慮した節度あるカジュアルウェアであることが前提です。
同じカジュアルウェアでも、自分の好みの服を適当に着るのと、相手のことを考えて
選んで着るのとでは、まったく意味合いが違います。
不特定多数の人と会い、かつ会社や自身の信用に関係することになるビジネスに
おけるカジュアルウェアは、スーツ以上に気をつける必要があります。

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