ペコスブーツの記事で、踵の変形について触れました。
踵の変形(つぶれ)ってなぜ起こるのでしょうか。
実は、サイズの合った靴を正しく履いていれば踵の変形はほぼ発生しません。
踵が変形するおおきな原因は3つあります。
1つ目は、履き方が正しくない。
2つ目は、サイズが合っていない。
3つ目は、着用後に正しく保管をしていない。
1つ目については、ブーツに限らず靴全般に言えることです。
あなたはどうやって靴を脱ぎ履きしていますか?
座っていますか?
紐を緩めていますか?
靴べらは使っていますか?
上の質問に対して1つでもNOがあった方は、靴を正しく脱ぎ履きできていません。
どんなにサイズが合った靴を履いていても、上記ができていないと靴は遠からず
変形します。
特に紐を外さず、靴べらを使わずに履くと踵が必ず変形していきますので、1年を待たず
して踵が潰れるでしょう。
逆に言えば、上の3項目ができていれば、靴の変形は90%以上の確率で防げます。
2つ目についても、靴全般にかかわることです。
昨今のスニーカーブームの影響か、靴のサイズを実際よりも大きめに履く傾向があります。
安いスニーカーなら買い替えやすいですし、スニーカーなら多少汚れていたり変形していても、
それで人となりを判断されることはないでしょう。
しかし、ビジネスで履く革靴や勝負靴に関しては、そうはいきません。
あなたが思っている以上に、あなたの人柄は靴の状態で判断されています。
サイズが大きい革靴を履くと、当然靴の中で足が泳ぎます。
履くときも然りですが、歩行中も靴が足に密着しないので、足の裏が底以外の場所を踏ん
でしまうのです。
革靴やブーツの底の内側が異常に削れて入る人や、中には甲まで接地しそうなくらい内側
に倒れこんでいる人をよく見かけます。
サイズの合っていない靴を履いて、靴が変形した状態でビジネスに臨むのは、損する事は
あっても得することはありません。
あなたは、変形した靴を履いて、おかしい・恥ずかしい、という感性すらない、
他人にそれを見られて平気でいられる感性の持ち主と仕事をしたいですか?
3つ目については、革靴の基本です。
1日履いたら、ブラッシングして埃を落とした後、除湿の為にシューキーパーを入れて
最低1日は履かない。
これだけです。
シューキーパーがない人は、タオルでも新聞紙でも構いませんが、ただ詰めるだけでなく、
履きジワが伸びるくらいギュウギュウに詰め込んでください。
個人的にはある程度の先行投資が必要ですが、シューキーパーのほうが便利だし、継続しや
すいと思います。
シューキーパーはプラ製でも構いませんが、除湿のことを考えれば木製(シューツリー)の
ほうがお勧めです。ネットで探せば、1,000円程度で入手可能ですので、是非試してみて
下さい。
なぜシューキーパーが大事かというと、靴の変形を防ぐ最適な方法だからです。
靴は履いて歩けば曲がります。曲がらなければ歩けないので当然なのですが、靴本来の
形は曲がった状態ではありません。
靴を購入したしたときの形を思い出してみてください。
トゥスプリングがあるので、少しだけ爪先が反っていますが、靴はまっすぐなはずです。
それが靴本来の形ですから、使用後もなるべく本来の形に戻してあげるのが靴にとって
一番良いのです。
普段からシューキーパーを入れている靴とそうでない靴は一目で判ります。
電車で目にする靴でも判りますが、素人目にも判りやすいのは居酒屋などで脱いだ靴を
見ることです。
キーパーを入れている靴は、脱いでも爪先の反りが2cm以内に収まり履き口も広がり
ませんが、入れていない靴は爪先の反りが2cm以上あり履き口が横に広がっています。
俗に「靴が笑う」という状態です。
「靴が笑う」のは変形の第一段階です。
すでに軽度の変形が始まっている状態ですが、シューキーパーを入れて1日休ませる
ようにすれば、まだ間に合います。
しかし、踵が潰れてしまうとただシューキーパーを入れてもどうにもなりません。
たいていの人は、そうなると諦めて買い換えると思います。
でも待って下さい。
御紹介したとおり、その変形も治すことができます。
ただし、残念ながら定価が1万円未満の靴の場合、踵を補強するパーツ(月型と云います)
が樹脂製であることが多く、樹脂製の月型が変形した場合、元に戻すのはほぼ不可能です。
(加熱型の成型機を持っている専門業者なら治せるかもしれませんが)
個人レベルで治せるのは、月型も革でできている靴に限ります(と思います)。
この時期、女性はブーツが手放せないでしょう。
しかし、ブーツの爪先が傷だらけだったり、色が剥げていたり、
踵が潰れていたりすると、どんなに着飾っていても興醒めです。
しかも、そういう女性がとても多いのです。
そういう女性と一緒に歩いている(付き合っている?)男性を見ると、小汚かったり、上下が
ちぐはぐだったり、と残念な感性(そういうブーツを履いている女性と付き合っても気になら
ない)の持ち主であることが多いです。
汚れたら買い換えるのも、もちろん1つの手ですが、
高いブーツなのでしたら、日ごろのメンテとシーズン後のクリーニングを試してみては
如何でしょうか。
大げさでなく、違う人生が見えてくるかもしれませんよ。